ショップビジネスの本質 ~ラーメン店が売っているのはラーメンではない~

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年間で500件以上のお店を調査する『日本一の繁盛店分析マニア』が綴る、物件探しから販売促進・チェーン展開に至るまで、出店戦略ノウハウの極意!

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今日はいつもとは違う切り口・・・・
お店の立地の観点からではなく、運営面の観点から、書きたいと思います。
 
ラーメン店はどうしたらお客さんに愛されるか

 
先日、とあるラーメン屋さんに入った時のことです。
 
カウンターに並ぶメニューの横に、「店主からのメッセージ」がありました。
そこには店舗開業までの想いや、店名に込めた意味などが綴られており、最後に、
 
「皆様に愛される店を目指していきたい」
 
というようなことが書かれていました。
 
 
僕は、一人の客として、そして勿論ショップビジネスに関わるコンサルタントとしても、
どうしてもここに違和感を覚えてしまうのです。
 
 
 
 
そのお店には、もう何度も足を運んでいます。
つけ麺が、とてもとても美味しくて、好きなのです。
お店のスタッフの方々も、まだ30代であろう若い大将を含め、とても愛想がよくて素敵な方々です。
 
だから、そのお店に行くことでの「満足」はありました。
少なくとも、同じラーメンなら、近くのチェーン店で中国人スタッフの「作業」感丸出しの接客を受けるより100倍いいですし、そのお店の味噌つけ麺の味噌が絶品なのです。
ちょっと割高でも、行く価値はあると感じています。
 
 
 

しかし・・・・言ってしまえば、それだけ、なのです。
 
 
支払った対価に見合うものは提供されていると思えるから、「満足」はするんですけれども、そこで終わってしまいます。
つけ麺は十二分においしいのに、どうしてかなと、先日帰り道にふと考えてみました。
 
 

すると・・・・
 
満足しているはずなのに不思議ですが、そのお店の良かったところではなく、ちょっと気になる部分ばかりが、思い返されてきたのです。
 
 
 
例えば、ティッシュの箱の置き場
 
食事中は、手や口を拭きたくなることが多々ありますし、多くのラーメン店で、ティッシュの箱を置いています。
ティッシュでなくても、おしぼりとかそういうものを用意しているのが常です。
 
しかし、そのお店では・・・・L字型のカウンターの、角の部分にしか置かれていません。
そのため、カウンターの隅に座ると、わざわざ立って取りに行かなくてはいけないのです。
それどころか、給水機の陰に隠れて、初めて来たお客さんはほとんど気付けません。
 
正直ちょっと、面倒くさいなと思ってしまいました。
 
 
 
例えば、声をかけるタイミング
 
食券機の前に立ってお金を入れていると、
「食券を買われましたらこちらのお席にどうぞ」
と、背中側から声がしました。
 
僕の意識は食券機に行っていたので、最初は何を言われたか分からず、振り返って、「はい?」と聞き返してしまいました。
 
僕の後に来たお客さんも同様に、食券機の前に立ったタイミングでそれを言われていました。
その方は、「こちらのお席にどうぞ」の部分しか耳に入ってこなかったようで、「え、食券買わなくていいんですか?」って聞き返していました。
 
 
 
そういうレベルの、ことなのですが。
 
どちらの事例も、つまりは「お客さんのことを本当にしっかり見てはいない」ということを示しています。
 
単純なことのはずなのです。
 
 
 
「ラーメン食べていたらティッシュが欲しくなるよね、汁が飛んだりするし」

「よし、じゃあお客さんが自分でティッシュを取れるようにしよう」

 
という理由でティッシュを置くのですから・・・・取りにくい場所にあったら、意味がないのです。
「ティッシュが必要とされるだろうから置いておけばいい」という短絡的な思考になってしまって、根本的な部分を見落としています。
 
取りにくい・取れない場所に置くなら、置いていないも同然なのです。
 
 
 
声かけの事例についても、そうです。
 
店員さん、あなたが声かけたその時、そのお客さんは、何をしていますか?
 
その人は、メニューを選んでいるのです。そして、買おうとしてくれているのです。
あなたがしている行為は、お客さんの時間に割って入ることで、「サービス」ではありません。
 
席への誘導は大切ですよね、そんなに広くないカウンター席のお店なら、効率よく座ってもらうことが重要です。
でも、その声かけ、「食券を買い終わった後」では、ダメなんですか?
必ず、「食券を買ってる途中」で声をかけますよね?
 
忙しい時なら仕方ないかもしれませんが・・・・ほぼ毎回、声をかけたら、お客さんが買い終わるまで待ってるじゃないですか。
だったら、後ろ姿に声をかけるのではなく、「買い終わったタイミング」で、お客さんが振り向いた時に、正面から声をかけてあげた方がいいじゃないですか。
 
あなたの言葉の内容もちゃんと届くし、お客さんだってその方が喜びます。
 
 
 
 
どちらも、些細なことです。
 
大きく売上げにマイナス影響を与えているとは考えません。
味は確かだし、そう、そもそも店員さんの愛想は良くて気持ちいいですし。
 
けれども・・・・
 
店員さんは、「マニュアル通りの接客」をしているだけで、もっと本質的な部分で、「お客さんのことを考える」というのが、出来ていない感じがします。
 
 
 
お客さんの利便性をとことん追求できていないから、置くべき場所に必要なものを置けていないのだし、
お客さんが今どういう気持ちかちゃんと観察できていないから、店員さん側のペースで声をかけてしまうのです。
 
 
これは、商売の本質から言ったら、とても残念なことです。
 
 
 
 
こういう残念なことに気付いた時、ふと、冒頭に書いた、あのフレーズを思い出しました。
 
 
「皆様に愛される店を目指していきたい」
 
 
あぁ・・・・
そうか・・・・
 
そういうことか・・・・
 
最初はこの言葉、特に気にも留めませんでした。
このお店に限らず、というかお店に限らず色んな場面で、「皆様に愛されるように」みたいなフレーズ聞きますもんね。
 
 
私は、こう返したくなります。
 
 
「あなた自身はお客さんを愛さないんですか?」
 
と。
 
 
 
愛されたい、愛されたいとだけ叫ぶ営業なんて、とても哀しい。
 
「愛される」というのは、『結果』です。
 
お客さんを愛し、お客さんに喜ばれるお店が、その結果「愛されるお店」になるだけです。
 
その本質を理解せずに、「お客さんから愛されるお店」ばかりを目指していたら・・・・それは、難しいんじゃないでしょうか。
 
 
 
・・・・おそらく、もっと言えば、「愛されたい」と願う人にはやはり、「愛されたい欲求」があります。
相手を見ることよりもまず、自分を見てもらいたい願望が強いのです。
 
それはすなわちお店で言えば、
 
「サービス」を無視し、ただ物を作って売るだけの、お客さんよりお店側の都合を主軸に置いた営業
 
ということになります。
 
 
 
勿論、「お客さんのことを考えていないのか」と聞けば、まず間違いなく「いやちゃんと考えてる!」と多くの人が仰ると思います。
 
ですから、こういうことは、「無意識」なのです。
 
 
しかしながら・・・・
その無意識の部分が、ティッシュや声かけの件として、少しずつ表面化してきています。
 
こうしたお店は、何が怖いかって・・・・
 
「お店がうまくいかなくなってきた時、その問題をお客さんに求める」という部分です。
 
自分たちは一生懸命やっているのにお客さんが理解してくれない、というような。
 
 
そんなふうには、なってほしくないですね。
 
 
 
 
ただ、こういうことは、自分で気付くしか、ないのです。
 
ああした方がいい、こうした方がいいというのは、第三者から言われても分からないものです。
 
僕ができるギリギリの手助けがあるとすれば・・・・
今度行った時には、ただひとりのお客さんの意見として、伝えてあげることくらいでしょう。
 
「ティッシュが取りづらいので、置く場所を増やしていただけたら嬉しいです」
「食券を買ってる最中に話しかけられると、何を言われているか分かりません」

 
などなど。
 
 
 
 
 
 
ラーメン店の商品は、『ラーメン』では、ありません。
 
ラーメンを売っているんではないのです。
 
そこを、勘違いしてしまうと、色んなものが変わってきます。
 
 
ラーメン店の商品は、『ラーメンを食べる時間と空間』です。
 
ラーメンそのもののみならず、そのための時間と空間、つまり『お店そのもの』が商品なのです。
 
「ラーメン1杯」の価格の中には、それらも全部含まれています。
 
 
ラーメン店に限らず、ショップビジネス全般に言えることです。
 
自店の商品が一体「何」なのか。
 
それをしっかり踏まえた上で、ちゃんと、お客さんのことを考える営業をしてもらえたらなと、思います。
 
 
ラーメン店はどうしたらお客さんに愛されるか
 


 
 
 

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